赤道直下、ボルネオ島旅行専門サイト|株式会社ユー・ツアー・サービス
南シナ海に浮かぶ小さな島、タランタラン島。そこはウミガメ産卵の聖地で、奇跡の島と呼ばれています。
島を管理しているのはサラワク州政府森林局で、島内にレンジャーが常駐し、古くは1999年よりウミガメの保護活動をおこなってきました。
政府はこの海域をタラン・サタン海洋国立公園に指定し、一般の立ち入りを禁止しているだけではなく観光開発も着手しませんでした。
これまでの地道な保護活動により、今では野球場の内野グラウンド程の小さなビーチにほぼ毎日多くのウミガメが産卵のために上陸します。多い日は一晩で30~40匹のウミガメが上陸し、夜中だけでは時間と場所が足りず、朝方まで産卵行動をする母ガメもいるくらいなのです。
この島の特徴としてパウダースノーのようなフワフワの砂が挙げられます。
産卵行動は母ガメにとって大変体力を要しますが、砂を掘り起こしたり埋めたりするのがこの島では容易なのでカメが集まるのではないかと言われています。
南シナ海を回遊するウミガメにとってタランタラン島はまさにオアシスなのです。
世界にいる7種類のウミガメのうち、現在6種類が絶滅危惧種に指定されています。
タランタラン島に上陸するのは主にアオウミガメとオリーブヒメウミガメでどちらも絶滅危惧種です。
そのウミガメが今ではこの島に1シーズン2,000頭以上の母ガメが産卵し、そして20万匹弱の子ガメが海へ旅立ちます。
レンジャーは今日も島を監視し保護活動を続けていますが、ウミガメの上陸数が増えた近年、レンジャーの仕事量も膨大になっています。また、維持、運営費の負担も増大しています。
この保護活動の意義を世界の人々に知っていただき、本活動が将来も変わることなく継続できることを目的に作られたのが、タランタラン島の「ウミガメ里親プログラム」です。
ウミガメ保護の1つに、母ガメの産んだ卵を安全な場所へ移して管理し、孵化した子ガメを無事に海に返すことで個体数の増やしていこうという活動があります。この活動の一環を島でレンジャーとともに担うのがこのプログラムの内容です。
その名前のとおり参加者1人1人が1頭の母ガメの産卵を担当し、保護活動を最後まで責任をもってフォローすることでその卵の里親になろうという趣旨です(森林局では「Adoption program(養子プログラム)」と呼んでいます)。里親になることでレンジャーの一員になり、保護活動の一貫として産卵後のカメに触れることも許され、孵化した子ガメの放流も手伝います。
自分達に任された母ガメの産んだ約100個の卵から孵化した子ガメが、外敵ひしめく荒海の中を無事泳ぎ切り、やがて成長していつしかタランタランに戻る。
このプログラムを通して遠い異国にいながらもふとあの日を思いだして欲しい
このような願いがこもったプログラムです。
タランタラン島では6人のレンジャーが3人づつ交代で島に住み込み、1匹でもウミガメが上陸すれば保護活動を行っています。産卵保護のステップは以下のとおりです。
① 母亀の個体を識別する
新しくタランタラン島に来たウミガメには両前ヒレ(痛みを感じない部分)にタグを付け、メジャーで身体測定
② 産卵後の卵を掘り起こし、個数をカウント
③ 取り出した卵を安全な別の場所に埋め戻す
④ 孵化した子ガメはカウントし海へ放流する
⑤ ビーチクリーニング(清掃)
ウミガメが産卵しやすい環境のため、また子ガメたちに悪影響がないよう島がキレイであることは大前提です。
※里親プログラムの参加者は②~⑤を行います。詳細はコチラへ
《補足事項》
・②、③の作業は産卵後2時間以内に行います。一定の体力も必要としますので、15歳以上の方に限りご参加いただけます。
・里親プログラムは産卵ピークシーズン(4月~9月まで)の季節限定です。また、4~6名様での催行となります。
クチン周辺のウミガメの約95%がタランタラン島に上陸します。もっとも多く見られるのはアオウミガメ(Green Tourtle)です。
一年を通して上陸しますが、特に4月~9月は最も多くウミガメが上陸します。
満潮時がウミガメにとって上陸しやすいときですが、特に新月は月明りもなく、卵を狙うオオトカゲや海鳥などからも身を隠しやすく安心して産卵できる環境となります。
ウミガメは生まれた場所へ戻り産卵する習性があります。
保護活動により守られ孵化した子ガメが、島の匂いを記憶し、またタランタラン島に戻り、産卵をする。この繰り返しにより多くのウミガメが帰ってくる、まさに奇跡の島なのです。